とうとうこの日が来てしまった オグリキャップの死
私の世代はこの馬を抜きに語る事は出来ない競馬人生
良い事も悪い事も彼の出現を境に更に深く競馬にのめり込んでいった正に悪友だった
くしくも今週はラストランになった有馬記念で激闘を演じたメジロライアン来場の週だった
一方で阪神メインは彼の手綱をとった南井克己厩舎が優勝していた
もうこのあたりは偶然なんかではない
今週は彼の功績を称えたレースがたくさん行われるに違いない
彼の関係する多くの資料をインプットしておきたい
笠松時代の安藤勝巳、中央入りしてからの河内洋・南井克己調教師
故人岡潤一郎、JRAアドバイザー岡部幸雄、増沢末夫そして療養中の武豊はいないが
当時の厩務員だった今年勇退の決まっている池江泰郎調教師
いまだにオグリキャップの全成績は頭に入っていて忘れる事はない
たった4度しかG1を勝っていないにも関わらず、ここまで伝説になった馬はいない
時代にマッチした背景、いや時代が彼のような存在を求めていた背景
今思い出すと彼のレース時、自分がどこでどんな事をしていたのか鮮明に思い出す
彼のレースであまり儲かった記憶はないが、唯一の快心馬券は1989年のジャパンカップ
当時学生だった私はプールバー(ビリヤード場)でアルバイトをしていた
時はバブル経済真っただ中 大人ってこんなに儲けるんだと錯覚していた時代
競馬を中心に生活が回っていて若さと社会の楽しさを謳歌していた時代だった
そうして迎えたジャパンカップ 今では絶対にないG1の連闘策
アルバイトの給料日のすぐ後だったのでこのレースで勝負しようと決めていた
時折見せる穴馬券の的中に店長をはじめ同僚、そしてお客さん達も注目していた
「リューセイ、明日は何を買うんじゃ、言うてみー」
店長が代表して私に聞いてくる
「2枠のゾロ目と2枠2頭の単勝です」と答えた
外国馬に日本馬が勝ってほしいという願い
競馬会の2枠もしくは黒を強調していた資料
そして枠順全体に文字や着・番の並びが多かったという点
ウインズ広島で馬券を買い当時設置されていた大オーロラビジョンの前で観戦していた
今まで賭けた事もない金額に心臓が飛び出そうなくらいドキドキしていた・・・・
最後の200は完全にオグリキャップを全力で応援している自分がいた
2分22秒2 当時の世界記録で枠連22 6,760円
快勝だった タクシーに乗り込み意気揚々とバイト先に戻っていく
プールバーの自動ドアを開ける 十数人の人が一斉に私を見る
そして大歓声・・・ 「なんぼ買うとったんや」 馬券を見せる さらに大歓声・・・
夜の流川へと繰り出し記憶が無くなるまで皆と飲んだ懐かしき青春時代
今思えばオグリキャップがくれた唯一の高配当馬券だった
そうして迎えた翌年のラストラン
住宅メーカーの営業マンになっていた私は当日彼女とウインズ広島にいた
もうウインズの中はごった返して人だかりの山、通常の馬券は買えない
どこの階もズラリと行列が並んでいる そして冬なのにめちゃめちゃ暑い
そして新聞を広げるスペースもないほどぎゅうぎゅう 若者もおじちゃんもたくさんいる
携帯もない時代なので迷子にならないよう彼女とくっついている
もう最後の予想どころではない 気分さえも悪くなっている
そして急に彼女がオグリキャップの単勝を100円買うと言いだした
何だよ・・と思いながら記念の馬券を買ってやることにした
当時は枠連しかなく前週にスプリンターSのG1があり単枠指定の2頭のうちの1頭の
8番のパッシングショットが大きく出遅れ連から外れていたので8番に注目していた
そんな中8番にはオグリキャップが配置されていた
ただこのレースはなぜかあまり買う気が起らなかった 今もなぜだったのかわからない
前年馬群に沈んだオグリの1枠、そして6枠
当時は関東の枠順も確認する事は出来ず、関西の枠順の中で取消のレースが2つあり
それが3枠と4枠になっていた
これらの枠をほんの少し買ってウインズの下に降りた
700億以上売り上げた第35回有馬記念のファンファーレ
レースが始まるとウインズの歓声で実況が全く聞こえない
画面の光具合で帽子の色も良く分からない 4コーナーに差し掛かる
芦毛の馬が先頭付近にいるのだけが確認できる
オグリが来ている 彼女も腕を握ってくる
あと100m ウインズ全体が高い声と低い声が混じりうなりを上げてくる
武豊の拳が上がる 勝った勝ったと飛び上がる者ガッツポーズを決める者
その瞬間から蜂の巣のように散らばりだす
私はその場でじーっとしていた 鳥肌がたっていた
すごいドラマ すごい演出 でもそんな事はどうでも良かった
隣で彼女が泣いている 泣いているのは彼女だけではなかった
放心状態、以心伝心、悲喜交々、空前絶後、そして狂喜乱舞・・・・
オグリキャップのラストランはこうして幕を閉じた
安価な馬、三流血統、地方出身の丸地馬
快進撃を繰り返すがクラシック登録のない同情
強い中央の馬を次々となぎ倒す爽快感、G1を連闘するなどの過酷感
そしてもう限界だとされたラストランでの復活劇
その演出以上のドラマに心を揺さぶられる
彼を好きだった人も嫌いだった人も、彼と共に競馬を楽しめた事が
後々すがすがしく懐かしい瞬間になってくる
恥ずかしながら今でも彼のぬいぐるみが我が家にたくさん飾ってある

地方と中央の垣根、クラシック登録の改正、芦毛の存在、主戦ジョッキーの多さ、
馬主の脱税行為、ファンのあるべき行為、競馬の楽しさ奥深さ
全てが彼の登場によって変えられた
私は生でオグリキャップを見た事がなく、1度でも見られた事がある人が本当にうらやましい
ハイセイコーはサラリーマンの心を掴みファンを拡大した
そしてオグリキャップは女性ファンの心をも掴み拡大していった
今度は彼らを知らない若い世代へ向けたアイドルホースが出現してくるのだろうか
「さあ第4コーナーを回って直線、大歓声です さあ、オグリ先頭に立つか
オグリキャップ先頭、オグリキャップ先頭、200を切ってオグリ先頭
オグリ先頭(ライアン)、オグリ先頭(ライアン)
ライアン来た、しかしオグリ先頭、オグリ先頭
オグリ1着、オグリ1着・・・・・・
右手を挙げた武豊!(実は左手) オグリ1着、オグリ1着・・・・・
見事に引退の花道を飾りました スーパーホースです オグリキャップ!」
・・・・オグリ! オグリ! オグリ! ・・・・・・・
何度見ても鳥肌が立つ名シーン
私にとって青春馬券の色褪せない思い出 オグリキャップ ありがとう! 















